概要

照度(明るさ)センサを無線化します。

Windows PCと接続し、出力を波形として観察します。

工場の装置の稼働状況をモニタリングするシステムで使用したものと同じ技術です。

洗濯機の動作状態を別の部屋から無線で監視します。

今回の構成(照度センサ・APBLE001-PC・OutputMonitor)

構成図

使用しているセンサは、照度(明るさ)センサです。目に見えない光を出力し戻ってきた光を検知することで距離(10~150mm程度)を測定する、測距機能もありますが今回は使用していません。コイン電池(CR2032)での動作に適した低消費電力のセンサを選択していますが、測距機能はコイン電池には適していないことも理由の一つです。

今回は、インターネット経由でサーバへデータを送信するのではなく、ローカルPCでセンサ状態の監視を行います。

電池動作の照度センサ

無線方式はBLEビーコンです。約10秒に1度、測定値を送信しています。非常に低消費電力ですが、送信しているだけなので受信されているかどうかの保証は無いです。

電池はCR2032です。今回の構成だと半年程度動作する見込みです。

アクリル板をレーザーカッターで加工してケースを作成しています。用途や数量によって、特に試作や実験では3Dプリンタやレーザーカッターを使用してケースを作成します。照度センサは光を透過させる必要があるため3Dプリンタではなく透明なアクリルを使用しています。

IoTセンサによる装置・機器の監視に関して

まず、IoTセンサについてです。弊社では測定したデータをインターネットを経由してデータベースサーバへ蓄積する機能を有するセンサをIoTセンサとして扱っています。センサのデータをスマートフォンやPCに送るアプリケーションもありますが、それらはIoTのカテゴリには分類していません。

センサがIoTセンサになると、様々なメリットが生じます。サーバを経由して複数の人にリアルタイムにデータを共有できるようになります。多数の離れた場所から取得した、複数のセンサからのデータを、何らかのアルゴリズムで処理したり、判断したりすることもできます。判断結果を通知することもできます。

人手を使ってデータを取得し、処理し、判断するよりも効率が良くなるのであれば、IoTセンサの導入費用と比較することで投資メリットがあるかどうか判断できます。

IoTセンサで、今まで取得していなかった新しい種類のデータを取得することで新しいビジネス価値を生み出す場合、価値を金額で見積もるのは困難な場合が多く、PoCやリーンスタートアップといった、まず小さく実験してみましょうというアプローチが向いていると思われます。

さて、最新の装置ではインターネットに接続できてサーバにデータを集めて「見える化」したり、便利な機能を実行したりできるものがあります。ただし、そういう物は一般的には非常に高額であったり、同一のメーカの製品に揃えていないと効果が十分でなかったりと、制限がある場合もあります。今回、世の中にあるほとんどのインターネットに接続されていない機器に対して、IoTセンサの例として照度センサを接続して稼働状況を監視することを確認することを目的としています。

洗濯機の動作監視実験

洗濯機の動作状態を示すLEDに照度センサを取り付けます。LEDの点灯状態をAPBLE001-PCのビーコン版で受信し、PCの画面に表示します。洗濯機から離れた居室で洗濯機の動作状態を監視します。

洗濯機に取り付けられた照度センサ

洗濯機の洗濯動作中に点灯するLEDの位置に合わせて照度センサを配置します。洗濯中の振動で位置がずれないようにテープで固定しました。

監視系全体

ノートPCにAPBLE001-PC for beaconを差し込み、BLEビーコンのデータを受信します。PC上ではAppside製のWindows用波形表示アプリOutputMonitorでリアルタイムにセンサの状態を監視できるようにしています。ノートPCは、電波の届く範囲内の居室へ移動させ、監視を続けました。

データを受信するPythonのサンプルスクリプトの用意もありますので、Windows PC/MAC/Raspberry Piのいずれでも使用できます。

洗濯機動作の監視結果

照度センサの出力の様子

洗濯機動作中は変動していた照度センサの値が、洗濯機停止と同時に出力ゼロで固定される様子が、離れた居室から確認できました。動作状態がLEDの点灯でわかる機器であれば、たいていの機器が同じ仕組みで監視できることがわかります。